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「元気が出る学級活動」12~相談ポスト事件-やり切った満足感と、熱意ゆえの悔しさと-・成功失敗論争-問題にこだわるのは伸び代を信じるから-~ [特別活動]

ようやく学級対抗集会シリーズの完結です。
勝ち負けにこだわる4年生をどうやって別の目的と関わって考えられるようにしていくか。
多様なものの見方があることに気づき、お互いのものの見方を認め合っていくプロセスを通じて自己や集団の成長を感じていく。
そんな特別活動を目指して取り組みを進めていきたいと思っています。
元気が出る学級活動12.doc

=====以下本文より=====

 学級対抗集会は、競い合うことを通して学級のまとまりを高めることを目標にしています。しかし、中学年の子どもたちにはとにかく勝ち負けにこだわります。「勝ったからよかった」「負けたからダメだった」を繰り返していても子どもたちには新しい学びがありません。子どもたちが勝敗以外の部分にも意義を見出せるようにしていくために、活動を行うたびにふり返りを行なっていくことが大切です。特に今回は学級目標と関わらせて考えることを広めるチャンスだと考えていました。

1.相談ポスト事件 ~やり切った満足感と、熱意ゆえの悔しさと~
 集会を終えて、ぼくは歩きながらS君に「今日は負けたのに清々しそうやな」と声をかけました。S君はクラスの中でも特に勝負へのこだわりが強く、4月から休み時間のボール遊びなどでもたびたびトラブルを起こしていました。「王様ドッジかダブルドッジか」の話し合いでは「男女別で試合をすると待っている間がヒマだ」として、最後まで「王様ドッジ」を支持していた子どもです。話し合いでは「ダブルドッジ」を支持する複数の子どもたちから「応援してなかよくなれる」「一生懸命応援すればヒマなんてない」と説得されていました。授業の間は納得していないようだったのですが、その次の役割分担の話し合いではなんと「応援係」に立候補し、応援の内容を係の中心になって考えていたのでした。集会を目前に控えたSくんの日記を紹介します。

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6月27日金曜日
 最近学級対抗集会の練習をしています。ぼくはAくんと練習をしています。Aくんにいろいろなことを教えてもらいました。一番すごいと思ったのはキャッチする方法です。それは左右の手首に当て、腕の間に転がしてパワーをゆるめ、胸に当たった瞬間に手で思いっきり確実にキャッチすればいいと聞いたことです。
 ぼくはもう一つのこともがんばっています。応援の副リーダーなので、振り付けの練習をしています。ぼくはこの2つのことを完ぺきにこなしたいです。
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 集会に勝ち負け以外の目的、目当てをもつことができたSくんは一生懸命準備した結果がどうあれ、自分の取り組みに満足していたのではないでしょうか。
 一方、そうではない子どもたちもたくさんいました。「作戦係」に立候補し、どうやって勝つかを考え、毎日の練習会に友達を誘って取り組んでいたNさんはまず試合中に作戦通り動いていないことに腹を立てていました。そして、女子の試合が終わると閉会式をせずに帰ろうとし、引き留められたのでした。
 集会後の休み時間を終えて教室に帰ってくると、子どもたちが騒然としています。
 「相談ポストに嫌なことがたくさん書かれていた」「ごみ箱にビリビリに裂かれた紙がたくさん入っている」というのです。怒り散らすNさんにつられ男女複数の子どもたちが怒りのままに書いてしまったようです。ぼくが「誰ですか?」と聞くと、子どもたちは正直に立って話してくれました。
 相談ポストなどに投げ込まれた紙には「当たったよって言ったのに聞いてもらえなかった」「外野に出たボールを中に投げ入れていた」などの苦情とともに、単なる悪口もたくさん入っていました。ぼくは「みんな楽しんでいたし、たくさんの人が活躍できてうれしかった。1組の人も『次は1組がやるから楽しみにしてください』って言ってくれたのに残念だ」と、話しました。子どもたちは「せっかくがんばったのに台無しになった」「何のためにやってきたのか」「恥ずかしい」などと話し、本人たちも反省していました。その話し合いの中で「成功だったのに」「いや失敗だった」という意見の対立がありました。

2.成功失敗論争 ~学級の問題にこだわるのは伸び代を信じるから~
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 ぼくは話し合い中心の授業になったときはほぼ毎時間板書を撮影することにしています。ネームプレートを使って記録しておくと、どの子がどの程度発言していたか、どんなことを話していたかが分かり、とても面白いのです。学級会ノートにそれを印刷して貼っておくと子どもたちがそれを見ながら話し合いを振り返ったり、次の活動の前に見直したりする姿が見られました。
子どもたちが自分たちの足跡を振り返って成長を感じる手助けになればと思っています。
2学期は普通の授業でも撮りためたものをファイリングし、授業参観でも公開できないかと思っています。…ところが、この授業では板書を撮影したものが見つからなくなってしまいました。忙しくてもきちんと整理しておくことが大切です。しかし、幸い今回はビデオが撮ってあったので記録は残っています。それをもとに振り返ることにします。
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 話し合いでは、次のような意見が出ました。
成功した
・一生懸命やっていた。
・投げる練習、キャッチの練習をがんばった。
・練習でうまくなった。教えてくれた。
・男子は女子、女子は男子を精一杯応援した。
・「チャレンジ」できた。
・1組は文句を言ってたけど、2組は言わなかった。
・すぐに謝った。→仲直りできた。
・係の仕事をがんばって集会を成功させた。など
失敗した
・最初から「負ける」って言ってた人がいた。
・練習に参加しなかった人がいた。
・悪口を言った。→「かしこく」ない。
・相談ポストに落書きを入れた。
・心が一つになっていなかった。
・ケンカがあった。←外野ボールを内野に。
・ゲーム中の女子に謝ってない。
・賞状をもらえるような立派なことはしていない。

 とことん「失敗」にこだわったのは、なんとあのSくんです。ぼくはずっとSくんの真意を考えていました。話しているうちにSくんはケンカがあったことにこだわっているとわかってきました。そこで、ぼくは思い切って「いつもだったらSくんがキレてるのになぁ」と投げかけてみました。するとSくんは「初めの2組の目当てにもどって、ちゃんと応援することが一番大事だと思ったから。心を一つにすることを目標にしていたから」と答えました。事実、Sくんは振り付けまで決めてみんなに応援を呼びかけていたのです。自分が一生懸命取り組んだ分だけ、目当てに沿わない結果に終わってしまったことが悔しかったのでしょう。ぼくが「『心を一つにする』ってことを一番わかってたのはSくんだったかもしれないね。成長しましたね」と区切ったつもりでしたが、まだまだ止まりません。
 終末では、普段なかなか自分から話せないBさんを指名しました。Bさんは「学級目標がなかったときはケンカばかりだったけど、みんなで学級目標を決めたらなくなりました。練習してみんなでボールを取って投げていたから成功だと思います」と話しました。その意見には多くの子どもたちから賛成意見が出されました。しかし、Sくんはさらに食い下がります。「その学級目標を守れなかったんだから反省した方がいいと思います。」子どもたちもさすがにがまんできなくなって「えー!」という声が上がりました。
 Sくんが問題点にこだわり続けたのは、「ここで満足してはいけない」「まだまだよくなる」と信じているからです。本当にクラスのことを真剣に考え、心から「よりよくしたい」と願っているのはSくんだったのかも知れません。ぼくは「Sくんが言ったように、もっともっとクラスがよくなるようにこれからもみんなで考えていきましょう」と締めくくりました。
 Sくんはこの話し合いで自分を説得しようと一番たくさん話した「成功派」のMさんを選び、満点カードを手渡しました。学級会カードのふり返りには以下のように書きました。
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 Mさんは反対意見とか考えて言ってくれたのでよかった。ぼくもいろんなことが言えてよかったです。それにみんながいいことをたくさん言えたので、うれしかったです。
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 Sくんは学級会カードの自分の意見の部分を「成功したこと・成功させる方法・ちょっと失敗したこと」の3つに区切り、考えをたくさん書いて話し合いに臨みました。「心が一つになる」ことを目指したSくんは、クラスのみんなから成功だったという意見をたくさん聞きたかったのかも知れません。それはSくんのクラスへの信頼の証なのだと思っています。
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