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思いやりと学力 ~思いやりのある子の学力が低いわけがない~ #教育 [学力]

「あの子は勉強もよくできるのに思いやりもあっていいわね」
こんな声がよく聞かれる。
たぶん、根本的に間違っている。

思いやりとは何か?

思いやりとは自分や相手の行為の結果を想定して、相手が喜ぶような心づかいをしておくことだ。

見通しをもち、相手の身になって考え、想像力を働かせて行動できる「思いやりのある子」の学力が低いわけがない。
思いやりのある子に育てようとすることは結果的に学力も育てることになる。
学力だけを育てようとすることは利己的でわがままな人間を育てることになるのではないか?

自然界においても自分だけが得をするような仕組みを進化させた種は結局淘汰され、いずれは絶滅してしまうと聞いた。

共に暮らす仲間と協調し、お互いにとって気持ちいい関係を構築する力を育てることを通して、結果として子どもたちの考える力を育てていく。

それが日本の目指す教育だと思っている。
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「わからないことにきちんと向き合う姿勢」をこそ勇気づけていかなければならない #学力 #算数 #勇気づけ [学力]

1.つまづきの元は九九
算数の成績が振るわず、毎回居残りや再テストを繰り返してきた子どもたちがどこでつまづいているのか確認した。

これまでの経験通り、やはり問題は九九の習熟にあり。

九九はその後の全ての計算の基礎となる。2年生のときにしっかり体に刻み込んでいることが大事だ。
そこで踏ん張れなかった子は高学年になっても様々な計算技術が身に付いていない。身に付くはずがない。

とにかくなんとか追いつかなければならない。
そのために内容の濃い計算問題を数問。毎日、繰り返すことにした。

何より大きな問題は、子どもたちが「自分はダメだ。どうせわかりっこない」とほとんどあきらめてしまっていること。これまでわからないままに放置されてきたことがそういう絶望感を植え付けてしまったのだと思う。

2.教育課程全体を把握することの大切さ
「自分はダメだ」なんて思わせたい教師はいない。しかし、学校では一定期間内でこなさなければならない教育内容は決まっている。時には、十分理解できていないくても先に進まなければならない。

小学生は発達に差があるので成長が追い付けば理解できるようになることもある。そういう希望だけは持たせるようにしたい。そのため算数科では、同じような教育内容を少しずつレベルアップさせながらスパイラル状に深めるようになっている。

教育課程の全体を把握できていれば、子どもたちに「今できないとダメ」みたいな伝え方をせずにすむ。どうしても無理な子どもたちにはとりあえず解くための手順を教え「一回り難しくなって来年もやるよ。今は納得できなくても、わかろうと努力していることが大事だよ」と、勇気づけることができる。

3.「わからないことにきちんと向き合う姿勢」をこそ
習ったときに素早く理解し、要領よくこなすことが果たして一番いいことなのだろうか?

自分が納得できていないことに気付き、悩み、そういう努力をきちんとできることが一番大事奈のではないかと思う。そういう人の方が物事の本質を深く理解できる。

ただ、教育内容がどんどん増加し詰め込みになると、学校は勘のいい子、空気の読める子だけが達成感を得る場になってしまう。

子どもたちをその瞬間。自分の言ったことを理解して実行できるか。という観点だけで見てはいけない。

そのためにも教師は教育課程全体をきちんと把握する必要があるし、さらに言えば子どもたちの将来を見通して、「わからないことにきちんと向き合う姿勢」をこそ勇気づけていかなければならないのではないかと思う。
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語彙数を増やそう!~【新聞音読】始めました。「わからない」を自覚することの大切さ~ #教育 #学力向上 #国語 [学力]

1.【会話が単語!】
言葉のテストをする度に思うことがある。
「ちゃんと理解している言葉がとても少ない」
「曖昧なままでスルーしてしまっていることが普通になっている」

最近の子どもたちの様子を見ていると「会話が単語」だと感じる。
その瞬間の盛り上がりや雰囲気だけで、内容があまり感じられない。

語彙の少ない子は小学生の中学年までは努力で持ちこたえていても、後々やはり伸びなくなる。それは複雑な問題の意図が読み取れなくなってしまうからなのではないかと思っている。

何とかしなければ!

ということで、「新聞音読」という課題を考えた。


2.【新聞音読】
「新聞音読」は読んで字のごとく、新聞を音読する課題である。
どれだけ読むか。それはわからない言葉が5個出てくるまで。
わからない言葉が見つかれば見つかるほど、早く終る宿題だ。

手順を簡単にまとめよう。
①その日の朝刊から興味のある記事を見つける。(新聞を取っていない子には学校の古新聞を渡した。)
②わからない言葉が見つかったら、マーカーで線を引いていく。
③マーカーで印をつけた言葉を自主学習ノートに書き出す。
④辞書を引いて調べ、その意味を手短にまとめて書く。
⑤その日一番勉強になったと感じた言葉を赤丸で囲む。

3.【各手順の意味】
①興味のある記事を見つける
誰だって興味のないものを無理やり読まされるのは詰まらない。
せめてその日の記事の中から興味のあるものを選ぶ権利ぐらいは欲しい。
興味のあるものを探すためにはある程度全体を見渡す必要がある。
そうすれば、自然と見出しを見て探すスキルが身につくだろう。

②わからない言葉にマーカーで線を引く
「普段、聞いたり使ったりしている言葉の中にも本当の意味で理解できていない言葉がある」という感覚をもってもらうことが必要だと考えた。
子どもたちは自分たちが理解できていないことにも気付いていないようなのだ。
「わからないことがわかっていない」
これが一番怖い。
5個で終わりにしたのも「わからない」ことに対する感度を高くするための工夫のひとつだ。

③自主学習ノートに書き出す
わがクラスの子どもたちは毎日最低2ページは自主学習を行う。
と言い切れるのは、ページ数をノルマにしているからだ。
とっても凝ったことをしてすごく時間をかけている子もいるが、筆算なんかをやって簡単に終わらせている子もいる。そこは子どもたちの生活に合わせて自由にやれるようにしている。
その中身のひとつに【新聞音読】が加わったという形。

④その意味を手短にまとめて書く
丸写しは勧めていない。長いと辛いし、わかった意味を自分の言葉で説明できる方が意味があると思うからだ。
まとめる方が頭を使うし、効率よくまとめるっていう訓練はすごく大事だと思う。

⑤一番勉強になったと感じた言葉を赤丸で囲む
毎朝、朝の会で【今日の言葉発表会】をすることにした。
各班で前日の学習で気になった言葉とその意味を発表する。
共有することで語彙数のアップが図れるし、中には「みんなを驚かせる言葉を見つけよう」と思ってくれる子が出てくるかもしれない。

4.【「わからない」を自覚することの大切さ】
こうやって「わかっていない」ことを自覚し、調べて書きためていくことを続けていこうと思う。
まさに「無知の知」(ソクラテス)だ。
大人だって偉そうな顔しても、知らない言葉は山ほどある。
知らないことはちっとも恥ずかしいことではない。

1日5つ。
10日で50。
1月で150。
1年では18000語以上になる。
1年間で平均的な小学生の語彙数を超えることができそうだ。

ちなみに
「図説日本語」林大監修(角川書店)によると、
小学生レベル: 5千~2万語
中学生レベル: 2万~4万語
高校生レベル: 4万~4万5千語
大学生レベル: 4万5千~5万語
だそうである。

NTTコミュニケーション科学基礎研究所が
語彙数推定テスト
を公開している。
一度チャレンジしてみられてはいかがだろうか?
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